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某建物のポンプ・熱源機(2024/04)
築31年の某建物に設置してある、冷温水2次ポンプとガス吸収式冷温水器(川重冷熱工業製)の熱画像。
いずれの設備も一度も更新していないそう。しかし、いずれの画像でも異常高温になっている箇所は見あたらない。ポンプはケーシング部分が高温になっているが暖房モードなので当然。保温材も活きているよう。
因みに画像内最高温度は、(画像順)ポンプ1号機30.7℃、ポンプ5号機32.4℃、冷温水器側面53.7℃、冷温水器背面52.2℃。
(熱画像内のカーソル部分の温度)室温は約18℃
<画像クリックで拡大>
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ペルチェ素子
整列して配置されたペルチェ半導体がセラミック基板でサンドイッチされている。各半導体は並列に接続され低抵抗回路となる。通電すると冷却側は結露するので防湿のため、サンドイッチの周囲はシリコンパテでコーキングされているが、シーリングを破ってしまうとペルチェ効果が減退してしまう。
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・サーモカップル数:127ペア
・最大電流(Imax):8.2A
・最大電圧(Umax):16.2V
・最大吸熱量(Qcmax):81.7W (@ΔT=0℃、Th=27℃)
・最大温度差(ΔTmax):70℃ (@吸熱面温度 0℃、Th=27℃)
・サイズ:40(縦)x40(横)x3.5(厚み)mm
・抵抗(交流インピーダンス):1.48Ω (@Th=27℃)
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ペルチェ実験
電流を流すと吸熱・発熱する半導体であるペルチェ素子の熱画像。厚さ5㎜程度のペルチェ素子の片面で吸熱、反対面で発熱するので、近接しすぎていて熱の分離が難しいため銅のブロック(中央の黄色の部分)で熱を移動させてみた。銅ブロックの両側に各1個ペルチェ素子を取付けている。
冷却温度を下げるためには発熱側の放熱をしっかり行う必要がある。熱画像では銅ブロックの温度が室温に比べて高いのでまだ放熱の余地があることが分かる。冷凍能力[W]は、冷凍サイクル機(いわゆる冷蔵庫)のほうが効率が良い。ペルチェ素子は、熱を移動させるデバイスで、電力消費によるジュール熱が効率を悪くする。
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3枚目の写真は、自作ヒートパイプ。同軸ケーブルの網シールド線を取り出して銅パイプの中に詰め込んで、作動冷媒としてHFC-152aを封入した物。
パイプの端には放熱板と他方に吸熱板をはんだ付け。放熱側で液化した冷媒は網を毛細管現象で移動し、(ペルチェ素子の発熱部に接する)吸熱側で蒸発したガスがパイプ内を移動する仕組み。吸放の極性はなく温度差のみで冷媒が循環する。冷媒の作動温度範囲は調べていないが、ペルチェ素子の発熱(40℃前後)では低すぎる印象。
ヒートパイプの製作法は、高熱になるはんだ付け作業をしたのち、ドライアイスで全体を冷やして、写真右の注入パイプからエアーダスターを吹き込んで素早く注入パイプに栓(ガス圧で栓が飛ぶ可能性があるので保護メガネ着)をして、その後半田封止(はんだ付けの熱が本体に伝わりにくくするため注入パイプを伸ばしている)。注入前後の重量測定で液が入っていることを確認。熱の伝導は出来ているが、ペルチェ素子の放熱には不十分と判断して使用をやめた。パソコンのCPUクーラーにはヒートパイプ方式の放熱器があるのでCPU温度(ざっと70~100℃か?)には使えるのだろう。(冷媒の種類は不明だが)
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冷凍機械内部
圧縮機ヘッドが高温に、膨張弁出口側の温度が低温(2枚目写真)になっていることが分かる。
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イラストはここから引用。
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ファン電動機
プーリー/ベルト部分でキュルキュル音が発生している場合の画像。2枚目の画像は通常状態。
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ポンプ用電動機
渦巻水車を回す三相誘導電動機の運転時熱画像。電動機ケースは巻き線の発熱を受けて59℃に上昇。巻き線を直接見ると約100℃になっていた。(定格試験電流 86.8Aのモータを約80Aで運転している状態)
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電動機諸元
・モータ出力:55KW
・定格電圧/電流/周波数: 440V / 86.8A / 60Hz
・極数/回転速度:4 / 1740min-1
・巻き線耐熱クラス:F(155℃)
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サーキットブレーカ
電源盤内のサーキットブレーカの熱画像
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電波伝搬シミュレーション
「見えないものを見てみよう!」ということで、番外編として、電波の伝搬強度(減衰)のシミュレーション結果を紹介。画像はRFIDタグが使用する周波数での計算結果。シミュレーションは、レイトレース(光線追跡)法で、光線の1本1本が発射源からどのような経路をたどるかを計算するもの。レンズ設計もこのようにするらしい。電波が誘電体に衝突するときの反射と誘電体に侵入した後の減衰を計算して結果を可視化。
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シミュレーションプログラムはC#で作成。電波の波長、アンテナの放射パターン、障害物の形状・位置、障害物の誘電率を設定可能。結果はX-Z平面、Y-Z平面の断面で表示している。結果を3次元グラフィックとして表示するようにするとエクセレントだとは思うが、利用頻度が下がったのでこのまま。
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